MENU

珍姓稀姓ベスト10を調べて分かった名字ランキングデータの「闇」【コラム】

  • URLをコピーしました!

名字由来netは、自サイトについて「日本の名字(苗字)の99%を網羅する、検索No.1の姓氏情報の総合サイト」と紹介しています。検索窓にさまざまな名字を打ち込むと、その名字の読み方や「全国順位」と「全国人数」、どの地域に多いのか、名字の由来解説などが表示されます。「さすがにこの名字はないだろう」と思うようなものも出て来るので、「99%を網羅」というのもあながち嘘とは言い切れないでしょう。

ただし、由来解説については、名字由来net側が書いているものもありますが、一般の読者が書き込んでいるものもあり、正確性には疑問符が付きます。もっとも名字由来netが書いているものでさえ正しいわけではありません。そもそも珍姓稀姓の名字の由来などわからないのが当たり前。名乗っている本人ですらわからないケースもあるわけですからね。

また、「同名字は近年、〇〇県、〇〇県にみられる」という表記が数多く見られるのですが、この「近年」が、いつを指すのかも不明です。さらに困るのが、解説の文章がひどすぎて、理解不能なものが多すぎるのです。まぁあくまでも参考程度に読む方がよさそうです。

とはいえ、これだけ数多くの名字を集めているのは、すごいのも事実です。実際、ニュースで見かけた珍しい名字を検索してみると、その大部分が表示されます。ためしに私の名字である「宇佐美」を打ち込んでみると、全国順位は650位、全国人数29,900人と出ました。20万種類とも30万種類ともいわれる日本の名字の中では、かなりの上位といえます。

名字に興味がない方でもある程度ご存知だと思いますが、日本で一番多い名字は「佐藤」さん。2位は「鈴木」さん、3位は「高橋」さん。以下、「田中」「伊藤」「渡辺」「山本」「中村」「小林」「加藤」と続き、以上がトップ10となります。

では逆に少ない名字は、どんな名字なのでしょうか? 名字由来netのトップページにある「全国名字ランキング」の検索機能を使うと、40,000位までは表示されるのですが、最終的に何位までランクづけられているかは知ることができません。となると、やはり最下位の名字=珍姓稀姓の第1位は、なんという名字か気になりますよね。ということで、さっそく調べてみました。 

方法は簡単。グーグル検索を使い、まずは、「95,000位 名字」「96,000位 名字」などと打ち込みながら、ひとつずつ絞っていきました。

その結果…。

最下位は「97,872位」でした。ただし、これはあくまで「漢字表記」上でのランキングです。名字由来netの場合、たとえば「安室」という表記であれば、「あむろ」であっても「やすむろ」という読み方であっても同一名字として扱われるためランキングは同じとなります。ここは、かなり納得いかない部分ではあるんですけど、仕方ないですね。

では、名字由来netにおける「珍姓稀姓トップ10」を発表してみたいと思います。

第1位 97,872位 与齊(よさい)

第2位 97871位 輿斎(よさい)

第3位 97,870位 三洗(みたらい)

第4位 97,869位 水野澗(みずのま)

第5位 97,868位 三黒(みくろ、みぐろ)

第6位 97,867位 丸乃内(まるのうち)

第7位 97,866位 真井田(まいだ)

第8位 97865位 眞井田(まいだ)

第9位 97,864位 本城屋(ほんじょうや)

第10位 97,863位 保士(ほし、やすし)

このランキングを見てみなさんはどう思いますか? はっきり言ってわたしは拍子抜けでした。「与齊」にしても「輿斎」にしても珍しい名字だとは思いますが、トップ10の名字は、漢字そのままに発音すれば読める名字がほとんどです。唯一悩んだのが「水野澗」の「澗」の字だけでした。どうみても、ひねりのない読み方のものばかり。「真井田」なんて、普通にありそうな名字に思えますし…。

では、このランキングはどこまで信用性があるのでしょうか?

わたしは、これを見た瞬間、漢字は違うものの、「よさい」と読む名字が2つ続いており、「まいだ」も2つ続いていることに疑念を感じ取りました。どうやら、その勘は当たったようです。

このトップ10の名字の「由来解説」をみると、すべて「同名字は、秋田県にみられる」となっています。さらに順位を遡っていくと97,859位の「野野村」(ののむら)で、「近年秋田県にみられる」と表現は変わりましたが、やはり秋田県の名字。その後も秋田県の名字が続き、97,858位の「能登井」(のとい)になって、ようやく「秋田県にみられる。能登と起源をともにする。能登国造、清和天皇の子孫で源姓を賜った氏(清和源氏)頼光流、村上天皇の皇子具平親王の子師房にはじまる源氏(村上源氏)、宇多天皇の皇子敦実親王を祖とする源氏(宇多源氏)、中臣鎌足が天智天皇より賜ったことに始まる氏(藤原氏)利仁流、秀郷流などにもみられる。『のと』はアイヌ語で岬の意味をさす」と詳しい解説がつきました。しかしながら、それでもやはり秋田の名字です。

結局、97、833位の「會場」まで、ところどころ詳細解説がつくものもありましたが、基本的にはすべて秋田県の名字ばかりです。その後は、島根の名字が続いたりするなど、パッと見たところ、県ごとに順位をまとめてつけたとしか思えない内容にみえます。先ほど紹介しましたが、字体は違うものの「よさい」「まいだ」と同じ読みが連続した順位になっているのを見ても、細かく調べて順位づけしているわけではないんだろうなぁという、やや雑な部分が見て取れます。

っていうか、上から見ていくと「や行」「ま行」「は行」…。

?????????

なんだ、あいうえお順かいな?

同じ人数の場合は、県ごとに並べて、その中であいうえお順にして順位付けしているということのようですね。 

ちなみに「およそ10人」の名字が何位から始まるかも調べてみました。

その結果、70,985位の「尼留」(あまどめ)さんから「およそ10人」がスタート。以下「梶高」(かじたか)、「釜友」(かまとも)、「下小浦」(しもこうら)、「千柄」(ちづか、ちから)、「寅川」(とらかわ)、「鍋加」(なべか)と続きますが、これもよく見ると、あいうえお順。しかも、「千柄」を除き、すべての由来解説が「同名字は、兵庫県、広島県にみられる」となっています。「千柄」については「伝統的な名字である。近年、安芸郡海田町などにみられる」とあるものの、やはり広島県に関係した名字です。

こうやって見ると、70,985位から97,872位の約2万7000種類に及ぶ「全国人数およそ10人」の名字は、地域ごとにあいうえお順で並べ、便宜的なものとして順位がふられているだけで、基本的には同じ順位と考えるべきです。それだけに、同じ10人であっても、順位が2万7000位も変わってしまうのは、ちょっとなぁ…という印象ですよね。

名字由来netについては、どうやって同じ人数の名字に順位づけをしているのか疑問に思ってはいましたが、こういうからくりがあったわけです。名字ランキングの「闇」の部分を見てしまった感じですね。

ちなみに、この「およそ〇人」という数字に関してもかなり適当であることも付け加えたいと思います。その辺の詳細は以下の記事で確認していただければ幸いです。

しかし当サイトのランキングカテゴリーの記事はもちろん、すべての記事は、「おかしい」と思いつつも、名字由来netの順位をもとにランク付けしていますので、その辺はご理解いただけると幸いです。基本的には「全国人数」が同じ場合は、同じレベルの珍姓稀姓だと考えていただくといいかもしれません。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!